アイドルグループ「私立恵比寿中学」の松野莉奈(まつのりな)さんが「致死性不整脈」で18歳の若さで急逝したニュースは記憶に新しいと思います。

活動がハード過ぎた等様々な憶測がとんでいますが、松野莉奈さんは、高校に入学したころ既に「不整脈がある」と診断された事があるそうで、持病として抱えながら芸能活動を続けていたという事でした。

不整脈は持病としてもっているケースもありますが、実は健康な人でも軽度の不整脈が現れる事はあります。

たまたま発生しているタイミングで心電図をとると不整脈にひっかかるので、健康診断等で不整脈にひっかかったけれど特に問題がなかった、という経験があるひともいるのではないでしょうか。そういった場合は問題ないですが、持病として見つかった場合は注意が必要です。

ただし、持病がなければ全く心配はいらない、というわけでもありません。睡眠不足や 過度な運動 、慢性的なストレスや食生活の乱れ、過労などの要因で発症の可能性が高まるといわれているので、そういった状況をさけるように注意をする必要があります。

エビ中、松野莉奈さん。AEDがあれば助かっていた?

現場の詳細な情報はわからないので憶測にはなりますが、「救急隊到着時にはすでに意識不明状態だった」という情報、

「都内の自宅から都内の病院に救急車で運ばれたが死亡が確認された。」という情報から想像すると、救急車到着時に心停止状態になっていた可能性はあるのではないかと思います。

もしそうだとするならば、AEDがあれば助かっていた可能性はあります。

ただし自宅にAEDがあるケースは稀ですし、仮に近くにAEDがあったとして、とって帰ってくるのに時間がかかりすぎて意味がなかった可能性もあります。また急に家族が意識不明になった時に「AEDを取りに行こう」と考えるのも非常に難しいと思いますので、AEDがあれば、と考えるのは「たられば」でしかないというのが実情かと思います。

AEDはなぜ必要?

不整脈などによっておこる心臓突然死は、年間約6万人が亡くなっていると言われ、死亡者数のとても多い症状の一つといえます。自宅だけでなく道端等で急に倒れる事例もあり、消防庁によると、平成25年度に心肺機能停止の時点を一般市民により目撃された件数は2万5,469件と報告されています。

これだけ多くの目撃事例があることを考えると、一般市民によって処置ができれば多くの命を救えた可能性がありますが、こういった心停止状態の心臓の動きを正常に戻せるのは、電気ショックしかありません。AEDは一般市民によって電気ショックができるようにした機器で、普及によってより沢山の命が救われるようになることが期待されています。

AEDについて多くの方が知り、イザというときに使えるようになれば、多くの命が救われる可能性があります。一人でも多くの人がAEDについて知識をもってくださればと思っています。

AEDの使い方は簡単

AEDは、一般市民が除細動(電気ショックによって心臓の痙攣をとり、正常な動きに戻す事)をできるように開発された機器です。近年は自動車教習所で使い方を教わるケースが多いので使い方を知っている人も増えていると思いますが、初めて使う人でも使える事を理想に、簡単に操作できるように考えられて作られています。

電源ボタンを押すと音声ガイダンスが始まるので、それに従えば操作ができます。途中で傷病者の胸に電極パッドをはる必要がありますが、本体や電極パッド自体にはる場所の目安が図でかかれている場合がほとんどなので、図を確認すれば正しい場所に貼れると思われます。

AEDが診断。必要がなければ電気は流れない

AEDは電気ショックを与える機器ですが、同時に電気ショックが必要かどうかを診断する機器でもあります。

電極パッドを傷病者の胸にはると、AEDが心電図を解析します。電気ショックが必要な心電図であれば、「電気ショックボタンを押してください」という内容で電気ショックボタンを押すように音声ガイダンスで促しますし、必要がなければ、「電気ショックは必要ありません」という内容でガイダンスし、電気ショックは発生しません。

むやみに電気ショックが発生して人を傷つける、という事が起こらない機器ですので、その点は安心して使用してください。

心停止が疑わしいときは、まずAEDを動かす。

目の前で突然人が倒れるな、心停止が疑わしい状況に出くわした時は、まずは119番通報して、次にはAEDを使う事を考えてください。

医師でも傷病者の外見だけで心停止状態かどうかを見分けるのは非常に難しいと言われています。電気ショックが必要な状況かどうかは心電図をみないと正確には判断できないので、まずAEDの電極パッドを傷病者の胸にはり、電気ショックが必要な状況かどうかをAEDに判断させてください。

1分で救命率が10%下がる、一分一秒を争う状況

心停止状態では、血液が体を循環しておらず、生命を維持するのに必要な酸素等が体に届きません。この状況は非常に危険な状況で、救命が1分遅れる事に救命率が7%から10%下がると言われています。

日本で救急車到着にかかる時間の平均は約9分程と言われていますが、その事を考えると救急車を待っていたのでは手遅れになってしまう可能性が高いです。現場に居合わせた人がAEDを使用できるかどうかが救命できるかどうかに非常に大きな影響をあたえます。

突然倒れた傷病者に対してAEDを使うのは非常に勇気のいることかと思いますが、そのアクションがあるかないかで、その人が救命できるかできないか、結果が大きく変わってしまいます。

万が一そういった状況に出くわしたときのために、突然人が倒れたときには119番通報とともに、まずAEDを使う事を考える、という事を覚えておいて頂けたらと思います。