AEDは一般市民でも使える

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AEDは電気ショックで心停止状態の心臓を動かすための機械です。

傷病者の胸に電極パッドをはり、電気ショックボタンを押して電気ショックをかけることで心拍の再開を促します。使い方はとてもシンプルで、電源を入れるとAEDが操作手順を音声でアナウンスが流れるので、それに従って操作をすすめます。初めての使用だと戸惑う事もあるかと思いますが、講習などで一度使い方を体験すると、使い方は非常にシンプルで誰でも使用できるものだとわかると思います。

医療ドラマででてくる、両手に持って「バンッ」とやるやつではない

AEDの事を、医療ドラマ等にでてくる、医師が両手にアイロンのようなものをもって「バンッ」とやるものだと思っている人がたまにいますが、あの機器はAEDではありません。

あちらは「除細動器」という機器で、医師が使用するものです。

AEDは「自動体外式除細動器」で、2kgから3kg程、縦横20cm程の持ち運び可能な機器です。除細動器は医師しか使用できませんが、AEDは一般市民が使用できるように作られています。

 

AEDが電気ショックが必要かどうかを判断する

AEDは電気ショックをかける機械ですが、同時に電気ショックが必要かどうかを判断する機器でもあります。AEDによる電気ショックが必要かどうかは、傷病者の外見をみただけで判断するのは医師でも難しく、心電図を見て判断するしかないと言われています。AEDの電極パッドを貼ると、AEDが心電図を解析し、電気ショックが必要かどうか判断します。

解析の結果電気ショックが必要であれば、AEDが電気ショックボタンを押すように促します。それに従って電気ショックを行います。

 

完全に心臓が止まった人には効果が無い

AEDによる電気ショックは、完全に停止した心臓をショックによって動かすもの、というイメージがあるかもしれませんが、心臓が完全に止まってしまった状態では、AEDは電気ショックを発しません。

AEDは、「心室細動」や「心室頻拍」という、心臓が小刻みに振動する状態に陥った心臓に電気ショックをあたえ、一旦振動を止め、心臓が正常に動き出せる状況を作り出します。AEDは日本語では自動体外式除細動器という名前ですが、その除細動とは、「細動」を除く事、つまり、心臓の細かい振動を取り除く事です。細動状態になった心臓を元にもどせるのは電気ショックだけなので、AEDが使用される事になります。

「え!AEDは心停止状態の人につかうんでしょ?」と思った方もいるかと思いますが、実は「心室細動」や「心室頻拍」の状態を心停止状態と呼びます。心臓は振動という形で動いてはいますが、この状態では血液が全身に送り出される事はなく、正常な心臓の動きを果たしていません。この状態がAEDの使用が求められる心停止状態です。

「心室細動」の状態になると、血液が全身に送り出されなくなりますので、酸素や栄養分が届かなくなり体がダメージを受けます。脳は数分でダメージをうけるといわれていますし、心臓自体もだんだん力を失い、正常な動きを再開させる力が弱まってきます。心停止状態になったら一刻も早くAEDによる除細動が行われる事が求められます。

 

AEDは安全!電気ショックは心停止の人がいないと出ない

AEDの電気ショックは日本で販売されているAEDだと150Jから最大360Jまで、非常に強い電気ショックを発します。このことからAEDは危険なのでは?と思う方もいるようですが、AEDは基本的には安全です。というのは、AEDの電気ショックは心停止状態の人がいないと発生させられないからです。

仮に正常な心臓の動きをしている人に電極パッドを貼って心電図を解析させても、「電気ショックは必要ありません」というメッセージを発して何もおこりません。心臓が完全に止まっている場合も同じメッセージになります。また電極パッドは導通性などを感知していて、適正な範囲でなければ解析をしないので、例えば人形に電極パッドを貼っても解析すら始まりません。

このようなことから、心停止状態ではない人にAEDで電気ショックをかける事はできません。AEDを悪用して電気ショックを行う、という事は構造上できませんので、例えばお子さんが遊んだら危ないのでは?という心配も基本的には必要ありません。分解などするとなると話は別ですが、基本的には安全なものと思って頂いて問題ないと思います。