一般市民による使用の開始について

日本で初めてAED(PAD)の導入が検討されたのは1997年です。その後2004年7月に、一般市民によって使用可能になりました。

それまでは、医師などの医療従事者にのみ使用が認められている状況だったので、AEDは病院等で使用されるものでした。

 

一般市民によって使用可能になった2004年から、病院や診療所から拡大し、空港、駅、スポーツクラブ、学校、公共施設、企業等、人が多く集まるところを中心に設置が広がっています。

日本におけるAED普及は、ここ10数年程でおこったものです。

最初のAED導入

日本におけるAEDの導入について、1997年に日本航空(JAL)が、機内搭載を検討した事が最初の検討だったと言われています。結局その時のAEDの搭載は見送られています。
一方で同じ時期にアメリカでは、アメリカ国籍の航空機へのAED搭載の義務化をしました。

飛行機の中で心停止に陥った場合救命の手段が無い事を考えると、航空機へのAED設置の重要度は高いですが、その義務化は先進的な取り組みだったと思います。
これを受けて、日本もAEDの使用について再度検討をし、2001年に、医師が不在の場合に限り、客室乗務員によるAEDの使用が認められました。

その後2003年に救急救命士が医師の指示がなくてもAEDを使えるようになり、2004年に一般市民への使用が許可されました。

 

AEDはまず命に関わる機器ですので、その取扱いをどうすべきか、難しい議論があったことと思います。

まず医師から客室乗務員に広げられ、それから救急救命士に広がり、ようやく一般市民へ広がるという、判断が慎重に行われてきた歴史を伺う事ができます。

 

【日本のAED導入の歴史】

1997年 飛行機内のAED搭載が検討される。

2001年 医師が不在の場合に限り、飛行機内で客室乗務員による除細動(AEDによる電気ショックの事)が行えるようになった。

2003年 救急救命士が医師の指示がなくても除細動を行えるようになった。

2004年 一般市民による除細動が行えるようになった。

 

AEDの普及。AED大国日本へ

一般市民によるAEDの使用が許可された後、日本はAED大国と言われるほど、AEDの普及が進みました。

2015/7/31付の日経新聞の記事によるとAEDの販売はここ10年で累計63万台とのことです。 公共施設だけでなく、一般企業やマンション等にもAEDが設置される事例がふえました。(参照:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG31H22_R30C15A7CR0000/)

 

また自治体などの助成によって、24時間使えるコンビニに設置される事例も増えてきています。

また横浜市などでは、特定の条件を満たす施設に設置を義務付ける条例を制定するなど、行政が設置の後押しをする事例も増えてきています。

AED普及の背景

AEDが普及してきた背景には、医師や救急救命士の処置を待っている救命体制では、心臓突然死の救命率が非常に低かったという事実があります。心停止状態に陥った場合、1分に7%~10%程救命率が下がり、10分経過してしまうと救命が難しいと言われています。

救急車を待っているとその10分が経過してしまう可能性も高いですし、時間が勝負の救命活動で大きなハンデを背負ってしまいます。

 

実際、一般市民の見ているところで心停止が起こるケースは年間2万件程と報告されているので、現場の人が対処できれば、多くの命が救えた可能性があります。こういった背景から、心停止から命を救うインフラとしてAEDの設置が求められ、普及がすすんでいると考えられます。